電磁界(EMF)に関する調査研究委員会は、平成9年度に発足した学識経験者を中心に組織した委員会です。高・中間周波のみならず、低周波(送電線などの商用周波数/例えば関西では60Hz)の電磁界の人の健康への影響についても、それぞれの専門分野の学識経験者を中心に、内外の情報収集やデータ分析を行っています。


 また、市民の皆さまに電磁界に関する正しい知識をご理解いただくために、冊子の製作や、地域の勉強会での講座や科学イベントでの実験・工作教室等の活動も、鋭意行っております。 

 

委員会構成メンバー (2024年(令和6年)度~ )

委員長 土田 昭司 関西大学 社会安全学部長・教授


学界      7名

連携機関    1名

刊行物

「暮らしの中の電磁界」
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暮らしの中の電磁界 パンフレット
暮らしの中の電磁界2022年4月 第4版.pdf
PDFファイル 1.3 MB

(一財)大阪科学技術センター 電磁界(EMF)に関する調査研究委員会

~電磁界の健康影響評価と安心を目指して~

25年(1997~2022)のあゆみ

 

【設立の趣旨・目的】

委員会設立の1997年頃は、IHなどの家電やOA機器の発達にともない、日常生活において電磁界が増え、特に50,60Hzの商用周波磁界については、その健康影響について関心が持たれ、各関係分野で調査・研究が行われていた。国内だけでなく海外においても、電磁波に関する調査・研究の成果を総合的に検討して、人の健康への影響について評価が行われていた最中であったが、まだ共通の規制がない頃であった。

国内においては、1992年と1995年に環境庁が、1993年に資源エネルギー庁など報告書を取りまとめ、海外においては、1984年と1987年にWHO(世界保健機構)が電磁界に関する環境保健基準をまとめ、1995年に米国物理学会が声明を発表し、1996年には全米科学アカデミー・研究評議会が報告書を発表しており、いずれの評価においても、「居住環境における商用周波電磁界が、人の健康に有害であるとする証拠は認められていない」としていた。

但し、これら評価においては、正しい理解に基づく正確な情報提供を行うために、今後とも科学的知見の集積に努める必要があるとしていた。また、健康への影響に対して、一部の方からは問題提起がなされ、これを受けて世間ではこの問題についての関心が急速に高まりつつあり、マスコミによる報道などで社会に混乱を生じる懸念も出てきいた。

 このような中にあって、上記問題に関する最新の科学的な情報を入手できるような情報のネットワーク化を図り、市民に対して常に正確な情報を発信できるような仕組み作りが必要であると考えた。

 そこで、大阪科学技術センターでは、商用周波数電磁界の人の健康への影響に関して、それぞれの専門分野の学識関係者を中心に本委員会を設置し、内外の情報収集やデータの分析を行い、社会に対して正確な情報を提供することにより、市民の電磁界に対する正しい理解を促進することに努め、不要な混乱や不安感の解消に寄与できればとの願いを込め、始動した。 

 

【主な委員会活動(概要)】

(1)調査研究活動

  ① 電磁界の動植物ならびに微生物への影響および人の健康影響に関する研究

     についての情報収集(国内関連行政官庁の情報、海外公的機関の情報ー

   資料収集とデータ分析)

  ② 委員の専門家による研究発表や話題提供

(a)理・工学専門家から見た電磁界について

(b)医・疫学専門家から見た電磁界について

(c)計測機器関係の専門家から見た電磁界について

(d)社会学の専門家から見た電磁界について 

(e)海外の専門家から見た電磁界について

(2)実態調査活動

  ① 生物学的影響調査実施の国立研究機関の見学

  ② その他必要と思われる機関や企業の見学

  ③ WHOはじめ関連国際機関の専門官からのヒアリングや海外各国の諸機関、

     研究機関との技術交流 

(3)情報交流活動

     電磁界に関する関連分野の専門家を招いての情報交流会を実施 

(4)広報準備活動

     広報活動のための素材の収集および整理を上記(1)~(3)の活動を

         踏まえて実施し、下記普及・啓発活動に結びつける。 

(5)普及・啓発活動

  ① 上記調査を踏まえての電磁界に関する市民への広報活動用解説書やパンフ

     レット類の作成

  ② 電磁界に関する展示会や講演会・セミナーの開催

 

【委員会体制】(1997年設立当初/敬称略)*所属・役職は当時

  委員長  山本 幸佳  大阪大学 教授

  幹事  西澤 邦秀  名古屋大学 教授

  幹事  西川 雅弘  大阪大学 教授

  幹事  辻本  忠   若狭湾エネルギー研究センター 部長

  幹事  小田 啓二  神戸商船大学 助教授

  委員  志賀  健   大阪大学 名誉教授

  委員  武部  啓   京都大学 教授

  委員  伊坂 勝生  徳島大学 教授

  他、アドバイザー 

 

1997年設立以来25年、当初目的を掲げて活動してきた現委員会活動は、

一定の成果を得たとみて終了とする。

 今後、変化の激しい社会環境の下、新たなテーマを掲げてひき続き活動を行っていく。

 

【一般市民への理解促進活動――制作物】

<冊子・パンフレット>

電磁遊泳 1998年3月.pdf
PDFファイル 6.7 MB
2 電磁界環境と健康影響~調査・研究の現状と動向~ 2000年12月.pdf
PDFファイル 30.9 MB
3 電磁界Q&A 2002年7月.pdf
PDFファイル 19.8 MB
4 超低周波電磁界に関する疫学研究の現状と課題 2004年3月.pdf
PDFファイル 42.5 MB
5 電磁界の健康影響について「電磁界の安全性を確かめる研究の現状」2007年12
PDFファイル 7.6 MB
6 暮らしの中の電磁界 2008年1月 第1版.pdf
PDFファイル 6.4 MB
7 超低周波電磁界の健康影響ーWHO環境保健クライテリアの意味するものー2009
PDFファイル 9.7 MB

<実演装置>

磁界可視化装置

ケーブルのぐるり同心円状に置いた方位磁石が、電流が通る時にどのような動きをするのか、ケーブルからの距離によりどのような違いがあるのか、また、直流と交流では動き方がどうなのかを確認する。